年次報告
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【平成22年度報告概要】
[共同研究]
(1) 物質分子科学
分子科学研究所の江東林准教授は、中国科学院化学研究所のDeqing Zhang教授、清華大学(中国)のXi Zhang教授と共に「π電子系有機分子を基盤とする機能性ナノ構造体の構築と機能開拓」に関する共同研究を継続して推進した。その結果、π電子系の新しい構造を開拓した。
分子科学研究所の加藤晃一教授は、香港大学のKong Hung SZE助教諭、と韓国科学技術院(KAIST)自然科学部のByong-Seok Choi教授、生物化学研究所(台湾)のKay-Hooi KHOO研究員と共に、「超高磁場NMRを用いた蛋白質-ペプチド相互作用の精密解析」に関する共同研究を継続して推進し、タンパク質のNMR解析法の開発や、生物活性に関わる糖鎖構造の違いを解明した。また、これまでの研究成果をとりまとめ、Khoo博士が主催する国際会議で発表した。
分子科学研究所の宇理須恒雄教授と中国科学院化学研究所のLi-Jun Wan教授は、河南大学Yan-li Mao教授、上海交通大学のChang-shun Wang教授と共に、先端ナノバイオエレクトロニクスについての共同研究を継続して推進し、アルツハイマー病の目印と言われるアミロイドベータの凝集反応について、新しい反応機構を解明し国際学術誌に発表した。
分子科学研究所の櫻井英博准教授と国立 Cheng-Kung 大学 (台湾)のYao-Ting Wu准教授は、「バッキーボウルの合成と物性」に関する共同研究を継続して推進した。その結果、スマネンの新たな官能化手法の開発に至った。本手法は、特に有機電子材料、光学材料の開発に非常に有効であると期待される。
分子科学研究所の魚住泰広教授と漢陽大学(韓国)のJin Wook HAN准教授は、「新規遷移金属錯体触媒システムの開発」に関する共同実験を継続して推進した。本共同研究は平成21-22年度の2年間に実施され、その成果は現段階において論文発表には至ってはいないものの漢陽大学院生(1名)が2年間の予定で魚住研究室(同教授兼職先の理化学研究所にて受入)に出向・在籍することが決定するなど具体的かつ積極的な発展を目指す段階に達した。
分子科学研究所の宇理須恒雄教授と原子分子科学研究所のDah-Yen YANG教授等は、「アミロイドベータの凝集と脂質二重膜との反応」についての共同研究をすすめ、今後も、宇理須グループが進める神経細胞ネットワーク素子を中心として、台湾のアカデミアシニカや中興大学と共同研究を継続することとなった。
(2) 光分子科学
分子科学研究所の岡本裕巳教授と中国科学院化学研究所のMinghua Liu教授は、「特異なナノ分子システムのナノ光学」に関する共同研究を継続して推進した。中国側で作成した試料を日本側に持ち込み近接場測定を行い、その結果に関する議論を進めた。また近接場円二色性測定装置を構築し、その性能評価のための試験測定を開始した。
分子科学研究所の大島康裕教授と台湾科学院原子分子科学研究所(IAMS)のYen-Chu Hsu研究員は、「コヒーレントレーザー分光による反応ダイナミックスの解明」に関する共同研究を継続して推進した。基本的な分子の励起状態における無輻射過程や振動準位構造の詳細解明に大きな進展があった。
(3) 理論分子科学
分子科学研究所の奥村久士准教授と物理研究所(台湾)のChin-Kun HU 研究員は、「タンパク質フォールディング病の分子動力学シミュレーション」に関する共同研究を行った。短いポリグルタミン(10残基)の分子動力学シミュレーションを行ったところ、反平行βシートが安定であるとの結果を得た。このことはポリグルタミンが凝集して形成するアミロイドの構造を知る上で重要な手掛かりになると考えている。
分子科学研究所の信定克幸准教授と国立台湾大学の林倫年研究員は、「ナノ構造体における光学応答理論」に関する共同研究を継続して推進し、特にナトリウムクラスターのプラズモン励起の詳細な解明を行った。
[セミナー]
分子科学研究所の桑島邦博教授と韓国高等科学院(KIAS)のJooyoung LEE教授、韓国科学技術院(KAIST)のHawoong JEONG教授は、平成23年2月27日~平成23年3月1日に大韓民国・済州島・ロッテホテルにおいて、「第3回日韓生体分子科学セミナー—実験とシミュレーション」を開催した。本セミナーは、蛋白質を始めとする生体分子の構造形成と機能発現の分子機構に関する研究の基盤となる生体分子の物理化学分野における日韓の研究交流を深めることを目的として行われた。
分子科学研究所の江東林准教授、立命館大学の前田大光准教授、北海道大学の河合英敏助教は、北京師範大学のZhishan Bo教授らとともに、平成22年7月24~28日に中国・長春市・吉林大学において、「中日機能性超分子構築シンポジウム」を開催した。本シンポジウムでは、両国の超分子科学分野で活躍されている第一線の若手研究者を一同に集め、集中的に議論する機会を提供することで、最前線の研究成果を報告するとともに、相互理解を深めることを目的として行われた。
分子科学研究所の魚住泰広教授は、上海有機化学研究所のKuiling DING教授とともに、平成22年12月17~18日に米国ホノルルのヒルトン・ハワイおよびハワイコンベンションセンターにおいて、「協同機能触媒」と題するシンポジウムを開催した。本シンポジウムは、これまで数年にわたり両者の間で展開してきた共同研究の成果を、世界各国の関連領域研究者等とともに議論、情報交換する集大成的な場とすることを目的として行われた。
総研大/アジアコアプログラム冬の学校を、平成23年2月19日~22日に岡崎コンファレンスセンターにおいて開催した。本セミナーは、分子科学の今後の発展を担う人材を東アジア地域から多数輩出するために、若手研究者や学生を対象として「光・物質・理論」という3重点分野に関して集中的な講義を行い、研究の推進に不可欠な基盤事項や最先端の研究動向についての深い理解を涵養することを目的として行われた。
分子科学研究所の魚住泰広教授、大阪大学の生越専介教授、は、南開大学(中国)のQilin ZHOU教授とともに、平成22年9月24~26日に南開大学において、「中日触媒的合成化学シンポジウム」を開催した。本シンポジウムは、日本と中国を代表する触媒反応研究の拠点である分子科学研究所および南開大学がChairとなり、特に新規かつ高度な触媒機能を示す次世代型物質創製の基礎研究に焦点をあて相互の情報交換と討論を行うことを目的として行われた。
分子科学研究所の宇理須恒雄教授は、原子分子科学研究所(台湾)のDah−YenYang 教授とともに国立陽明大学(台湾)において「台湾―日本ナノバイオメディカル交流セミナーナノバイオ分野のセミナー」の実施を予定していた。しかし、現地開催責任者のYang教授の所属先において計算機の故障が多発し、Yang教授はその対応に見舞われる等、セミナー開催の代表を務めることが出来なくなってしまった。また、現地開催責任者の交代及びそれに伴う開催日程・開催内容等の調整が困難であったため、本セミナーを実施することができなかった。
分子科学研究所の魚住泰広教授、大阪大学の笹井宏明教授、は、平成22年10月1~3日に奈良ホテルにおいて、「日韓有機金属化学シンポジウム」を開催した。本セミナーは、有機金属化学分野で最先端の研究を展開する研究者が最新の成果を持ち寄り、十分な発表と討論の時間を持って意見交換することを目的として行われた。
平成23年2月23~24日に岡崎コンファレンスセンターにおいて、第5回年次会議を開催した。本会議は、本事業における共同研究・研究交流を総括し、今後の研究交流のやり方を議論するために行われた。
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